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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

 先刻の声からして、まだ若い男のようである。大方は暇を持て余している内官辺りだろうと、百花はきつい声で咎めるように言った。
「折角、人が苦労して綺麗に洗い上げたのに、どうしてくれるのよ」
 表情も声音もつい尖ってしまうのは、この場合、致し方なかっただろう。
「おお、怖。そのように怖い眼で睨みつけていては、可愛い顔が台なしだぞ?」
 からかうように言われ、百花は余計に眦をつり上げた。
「大きなお世話よッ」

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