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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 夏の風に優しく揺れていた鷺草が見る間に、変化(へんげ)してゆく。白鷺のほっそりとした姿に似ていることにその名の由来があるというが、今、まさに眼の前では信じられないことが起こっている。
 鷺草が本物の鳥になっているのだ。白鷺たちは次々と翼をひろげ、大空に向かってはばたいてゆく。
 羽ばたく白鷺の一群を背にしている王が、ふと背を向けた。ゆっくりと、本当にゆっくりとした歩みで、しかし確実に百花から離れてゆく。

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