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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 目ざめた時、百花の頬はしっとりと湿っていた。
 何故、これまで気付かなかったのだろう。
 自分の真実の気持ちに。
 いや、多分、自分はとっくに知っていたはずだ。王だけでなく、自分もまた、初めて逢ったあの瞬間から、王に惹かれていたことを―。
―何故であろうな、そなたを見ていると、妙に心が浮き立ち、つい普段は口にせぬような軽口まで口にしてしまう。こう見えても、予はあまり冗談の言える質ではないのだ。だが、そなたといると、どうしてか、気の利いたこと、面白きことの一つでも申して、そなたを笑わせ、歓ぶ顔が見てみたいと思ってしまう。

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