夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
その視線の先に佇む男の姿は逆光になっていて、よく見えない。三月にしては明るすぎる陽差しに心もち眼を細め、このけしからぬ失礼な男の顔をとくと見極めてやろうとした百花は、スッと蒼褪めた。
「チ、殿下(チヨナー)!?」
この王城広しといえども、眼にも鮮やかな真紅の龍袍(りゆうほう)を身に纏っているのは国王(チユサン)殿下(チヨナー)と次の王位を受け継ぐべき世子(セジヤ)の二人のみである。
が、現在、若き国王導(ド)宗(ジヨン)には一人の御子もおらず、従って王太子位である世子は決まっていない。
「チ、殿下(チヨナー)!?」
この王城広しといえども、眼にも鮮やかな真紅の龍袍(りゆうほう)を身に纏っているのは国王(チユサン)殿下(チヨナー)と次の王位を受け継ぐべき世子(セジヤ)の二人のみである。
が、現在、若き国王導(ド)宗(ジヨン)には一人の御子もおらず、従って王太子位である世子は決まっていない。