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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 王に初めて召し出された翌朝から成人した証として結い上げた髪は、更に複雑な形に結い直され、上から重たげな髢(かもじ)をつけられる。
 〝正二品昭儀 宮人愼氏〟
 墨の痕も鮮やかに記された紙が置かれた台に向かい、百花は形式どおりに拝礼を繰り返す。衣裳や髢が法外に重たいため、到底、一人で身動きはできず、拝礼は両脇から女官に支えられて行う。右側に監察尚宮の楊尚宮、左には昌淑がついている。
 美しく化粧を施され、華やかな装束を纏った百花は別人のように臈長けて見えた。

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