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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 その日、大殿は大騒ぎになった。
 何しろ、昭儀に任ぜられたばかりの王の側室が女官のお仕着せ姿で現れ、いつものようにせっせと拭き掃除を始めたのである。
 内官たちが慌てて駆け寄って止めたが、百花は全く知らぬ顔で掃除を続けた。百花は唖然としている内官たちを尻目に悠々と大殿を後にした。
 既に導宗には知らせが行っていることは間違いないが、今のところ、まだ咎め立てられることはなかった。

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