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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 掃除を終えた後は、洗濯物をかき集め、籠に放り込むと、井戸端に向かう。
 その日の洗濯物は半端な量ではなかった。百花は籠を両手で抱え、踏ん張るようにして歩く。向こうから集団で歩いてくる女官たちの一団に出くわした。
 彼女たちは大王大妃殿で働く女官である。籠を持ってふらつく百花を見、ひそひそと意味ありげなまなざしをこちらへ投げてくる。
 その瞳には羨望、嘲笑、複雑な感情が入り乱れていた。

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