テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

「あっ」
 声を上げた百花の華奢な身体が地面に叩きつけられる寸前、逞しい手が抱き止めた。
「大丈夫か?」
「さ、主上さま(サンガンマーマ)」
 鮮やかな緋色の龍袍を纏った導宗は、今日も野性味溢れる端整な風貌をしている。この若くて男ぶりも良い国王に求められ、意地を張って拒み続けるのはこの国広しといえども、自分くらいのものに違いない。
 先刻、すれ違った女官たちが自分を気違いを見るような眼で見るのも無理はなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ