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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 百花の大きな瞳に大粒の涙が盛り上がった。自分のような身分の低い娘を王妃にとまで言ってくれる王の気持ちは嬉しい。でも、側室だから駄目で、正室だから良いとか、そういう問題ではないのだ。
「殿下、私が中殿さまになれぬのは、出自だけではございませぬ。私は正室であろうと側室であろうと、殿下の後宮に入るつもりはないのです」

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