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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 春の陽差しがふんわりと心地良い。この陽気では、昨日までは固かった桜の蕾が一挙に膨らむだろう。明日辺りは、早ければ桜便りが聞けるかもしれない。
 かれこれ一刻余りもの間、書き物に没頭していたせいか、少し肩が凝ったようだ。
 私は筆を一旦文机に置き、立ち上がった。
 そのまま部屋を横切り、窓を開ける。
 その途端、やわらかな春風が吹き込んできて、私を包み込むようだ。

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