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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 私はここ王宮に勤務する後宮女官、巌(オム)松(ソン)胡(ホ)。私の叔母温昌淑は目下のところ、この後宮では二番目の地位にある監察尚宮を務めている。
 叔母が後宮に勤めているつてを頼り、私も十歳で入宮し、はや今年で二十八年になる。叔母も五十、私自身も三十八になるのだから、年月の経つのは本当に呆れるほど速いものだ。
 見習い期間を経て正式な女官となった私は、経験を積んだ末、尚宮に任じられた。至らぬ上司ではあるが、これでも若い娘たちを指導する立場にある。 

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