夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
平たく言ってしまえば、お飾りの王にすぎなかった父と異なり、導宗は年配の大臣たちを立てながらも、けして彼らの意のままにならない。譲れるところは譲り、自分の意思を通すときには通した。その風貌が今に伝わる太祖(李氏朝鮮王朝の創始者、初代国王李成桂)の肖像画を彷彿とさせるところから、早くも〝太祖(テージヨ)大王の再来〟とまで囁かれ始めている。
彼の父は五歳の砌、一度諳んじた書物はすべて憶えるとまで言われたが、生涯に渡って〝聖(ソン)君(グン)〟とは呼ばれなかった。それに引きかえ、彼は早くも〝聖君〟としての器だと目されている。
彼の父は五歳の砌、一度諳んじた書物はすべて憶えるとまで言われたが、生涯に渡って〝聖(ソン)君(グン)〟とは呼ばれなかった。それに引きかえ、彼は早くも〝聖君〟としての器だと目されている。