夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
妃たちの頭の中にあるのは、〝誰が先んじて殿下のお子を生み奉るか?〟という、ただその一つだけである。彼女らの房を訪ねる度に、あからさまな秋波を寄越され妓生も顔負けに積極的にしなだれかかられては、興醒めになってしまう。
だから、どの妃の房を訪れても、結局、一刻もしない中に早々と暇乞いし、大殿(テージヨン)の寝所で独り寝するといった夜が続く。もちろん、妃たちの父、つまり舅たちの手前、妻をおろそかにもできないから、たまに泊まることもあるが、極めて儀礼的に淡々と一夜を共にするだけで、彼にとっては妃と過ごさなければならない一夜はまさに義務を果たすといった感がある。
だから、どの妃の房を訪れても、結局、一刻もしない中に早々と暇乞いし、大殿(テージヨン)の寝所で独り寝するといった夜が続く。もちろん、妃たちの父、つまり舅たちの手前、妻をおろそかにもできないから、たまに泊まることもあるが、極めて儀礼的に淡々と一夜を共にするだけで、彼にとっては妃と過ごさなければならない一夜はまさに義務を果たすといった感がある。