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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

「申し訳ございませぬ!」
 謝るくらいなら、最初から言わなければ良いようなものだが、子どもの頃からよく他人に〝見かけによらず短気〟だといわれてきたこの性格が恨めしい。
 百花は「申し訳(マング)ござい(カオ)ませぬ(ニタ゜)」を数度繰り返した後、唖然として立っている王を残し、蒼褪めたまま、まるで狩人から逃れる怯えた野兎のように逃げ出していった。
 あまりにも慌てていたせいか、その洗濯物すら拾うのも忘れていったのだ。

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