夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
よもや、自分の忘れていった大量の洗濯物を籠に自ら拾い上げて入れ、
―これを落としていった女官がいるはずだ。予はその者の名を知らぬが、今頃、困っているであろうゆえ、その女官に渡してやってくれ。
と、よりにもよって提調尚宮に王おん自ら手渡して頼んだなどと、誰が想像し得るだろう?
また、その様子―王が一人で地道に洗濯物を拾って籠に収めるのを同じ宮にいる女官に目撃されてしまっていたから、百花が起居する殿舎に戻るよりも先に、実は崔尚宮の方が重大事件を知っていたという恐るべきことになってしまっていた。
―これを落としていった女官がいるはずだ。予はその者の名を知らぬが、今頃、困っているであろうゆえ、その女官に渡してやってくれ。
と、よりにもよって提調尚宮に王おん自ら手渡して頼んだなどと、誰が想像し得るだろう?
また、その様子―王が一人で地道に洗濯物を拾って籠に収めるのを同じ宮にいる女官に目撃されてしまっていたから、百花が起居する殿舎に戻るよりも先に、実は崔尚宮の方が重大事件を知っていたという恐るべきことになってしまっていた。