夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
崔尚宮が指揮を執るこの殿舎はさして規模は大きくはなく、王の妃たちや大王大妃が暮らす宮に比べれば、こぢんまりとはしている。それでも、一人で廊下を拭くとなると、これは結構大変だ。見かねた親友が手伝おうかと申し出てくれたけれど、そんなことをすれば、とんでもない、友人にまで崔尚宮からお咎めがあるだろう。
百花は笑って〝ありがとう(コマオ)〟とだけ言って、一人で拭き掃除に挑んだのだった。
どれくらい経っただろう、ゆうにふた刻は経ったと思われる頃、突如として背後から目隠しをされた。大きくて温かな手のひらに両眼を塞がれ、百花は愕きのせいで身を強ばらせた。
百花は笑って〝ありがとう(コマオ)〟とだけ言って、一人で拭き掃除に挑んだのだった。
どれくらい経っただろう、ゆうにふた刻は経ったと思われる頃、突如として背後から目隠しをされた。大きくて温かな手のひらに両眼を塞がれ、百花は愕きのせいで身を強ばらせた。