夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
「殿下、人にはそれぞれに相応しき立場があれば、更にはそれに伴う行動というものが求められます。昨日、私が殿下に対して取ったふるまいは一女官としてはあまりに度を過ぎた無礼なものであり、立場をわきまえないものでした。それゆえ、私は罰せられるのでございます。立場にふさわしくない言動はいかなるときも罰せられねばなりません。それが、掟というもの。また、提調尚宮さまにも崔尚宮さまにもあの方々なりのお立場があり、そのお立場からすれば、禁を破った私を罰せねばならないのです。すべての人の上にお立ちになり、民の範となるべき殿下がその倣いをお破りになるのは、あってはならないことにございます」