夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
やはり、この場でも沈貴人の美貌は目立っている。萌葱色のチョゴリに鮮やかな牡丹色のチマにほっそりとした肢体を包み、艶やかな髪を複雑な形に結い上げ、数々の玉石をあしらった簪を挿している。その垢抜けた姿は、さながら咲き誇る大輪の花を彷彿とさせた。
「まあ、嬉しいことを申してくれる。でも、そなたたちとこうして年に一度の宴を開くのを愉しみにしているのは、この年寄りの方なのよ。もう、特にすることもない甲斐のない身ですからね。本当はいつお迎えが来ても良いくらい―、私はいささか長生きしすぎた」
「まあ、嬉しいことを申してくれる。でも、そなたたちとこうして年に一度の宴を開くのを愉しみにしているのは、この年寄りの方なのよ。もう、特にすることもない甲斐のない身ですからね。本当はいつお迎えが来ても良いくらい―、私はいささか長生きしすぎた」