夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
「何を縁起でもないことを仰せになりますの。大王大妃さまは王室の最長老としてまだまだお元気でいらっしゃらないと。ねえ、皆さま?」
と、これも沈貴人が明るい声音で言い、その場に居並ぶ一同を見渡した。
「沈貴人の仰るとおりですわ。大王大妃さま、私たちはまだ未熟な若輩者ばかり。殿下のおん母君の仁徳(インドク)王后さまも既に儚くなっておられる今では、私たちがお教えを請うことのできるお方は大王大妃さまだけにございます。ですから、そのように哀しいことを仰せにならないで下さいませ」
即座に沈貴人に同調したのは、やはり、大王大妃の右隣に座る張(チヤン)淑儀である。
と、これも沈貴人が明るい声音で言い、その場に居並ぶ一同を見渡した。
「沈貴人の仰るとおりですわ。大王大妃さま、私たちはまだ未熟な若輩者ばかり。殿下のおん母君の仁徳(インドク)王后さまも既に儚くなっておられる今では、私たちがお教えを請うことのできるお方は大王大妃さまだけにございます。ですから、そのように哀しいことを仰せにならないで下さいませ」
即座に沈貴人に同調したのは、やはり、大王大妃の右隣に座る張(チヤン)淑儀である。