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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

大王大妃を真ん中にして、沈貴人が左、張淑儀が右に陣取っているのだ。
「私は幸せものですよ。優しいことを言ってくれる可愛い孫嫁が六人もいてくれるのだもの。そなたたちには、まだお若い殿下(チヨナー)をお助けして、これからの王室を担っていって貰わねばならぬ。これで、そなたらの誰かが殿下の御子を生んでくれれば、他に望むことはないのだけれど」
 その言葉に、一瞬、その場の雰囲気が張りつめた。まるで氷の針を含んだとでもいえば良いのか、まるでガラリと変わってしまった空気に賢い大王大妃が気付いていないはずはない。

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