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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 その時、沈貴人の眼(まなこ)が妖しく輝いた。
「そなたの名は?」
「愼(シン)百花と申します」
「愼(シン)女官(ナイン)―、その名には憶えがある。殿下がお庇いになったという崔尚宮の部下ではないか」
 その最後のひと言に、大王大妃を除いたその場の視線が一斉に百花に集まる。刺すような鋭い幾つもの視線に百花は怯えた。女たちのいわれのない悪意をひしひしと感じた。
 だが、何故、自分がこうまで王の側室たちから憎まれねばならないのだろう。それが百花には解せなかった。

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