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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 その時、初めて大王大妃のまなざしがスと百花に向けられた。
「何でもご自分の方に非があって、愼女官は悪くないのだとご主張され、けして譲られなかったと私の宮ではもう、女官たちがその噂でもちきりでございました」
「金淑儀! 少しお喋りがすぎるのではないこと。口をお慎みあそばせ」
 訳知り顔で述べる金淑儀に、見かねたのか沈黙を守っていた張淑儀が窘める口調で言った。
「申し訳(ございません」
 金淑儀が肩をすくめ、謝った。
「それで主上が先にご自分を罰せよと提調尚宮に仰せになったというわけか」

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