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エンドレス

第35章 久美と薫、それぞれの夜

さっと身体を洗い、リビングへと戻った。

薫が身仕度を始める。

つかの間の同棲生活の終焉・・・
終わる時はいつだってあっけないものだ。

「それじゃ・・行くね・・」

「連絡するね?」

「うん・・・」

玄関でキスをして薫が帰っていった。

シンと、静まりかえるリビング。
夢のような2週間をひとり思い出す。
めくるめく官能的な日々だった。
思い出すだけで、生理中の下腹部がジュンとした。

時計は17時になろうとしていた。

「さて・・奥様に戻らなきゃ・・」

寝室に戻り、薫との情事の痕跡を消していく。
シーツを取り換え、ベッドを整える。
薫と買い物したエッチな下着と、薫が購入したオモチャ3点をランジェリーボックスの一番奥へと押し込めて隠した。

「持って行ってくれたら良いのに・・・こんなの見られたら・・・どうなるのかしら・・」

想像できなかった。

急いでスーパーに夕飯の買い物に出かけた。

薫と並んで歩いた道。
薫を探しに走った道・・

薫にオモチャを挿れられたまま行ったスーパー。

(ここで逝かせてもらえなくて・・・)
買い物をしながらふと思い出し赤面してしまう。

気がつくと薫との事ばかり思い出していた。

(こんな調子で、大丈夫かしら私・・)

マンションの前まで来ると、ちょうど夫の直哉が帰ってきた。

「ただいま。」

「お帰りなさい。早かったね。」

内心、懸命に「妻」に戻ろうと必死だった。

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