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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 夢のように美しい光景だ。
 これが真に夢ならば、ずっと醒めないで欲しい。
 公子は心の中で願いながら、満開の雪柳をいつまでも眺めていた。
 確かに、人並みに恋に憧れる気持ちもあったし、もし我が身が健やかで、子どもを産めるちゃんとした身体であればと悔やんだこともあった。女として我が子を産んで、この腕に抱いてみたいと思ったことも。

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