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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 帝は流石に安子の諭しには逆らわず、不満げに黙り込んだ。
 その時、安子はハッとした。
 帝が公子を憎しみに満ちた眼で睨みつけていたのだ。まだ四歳の頑是ない童ながら、そのあまりにも烈しいまなざしに安子でさえ、ゾッとしたほどであった。
 その出来事は鮮烈な記憶となって、安子のの中に刻み込まれた。

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