無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
「それは良かった。しかし、お寝(やす)みにならないで一晩中、物語を読んでいたというのは、あまり感心できませんね」
公之が軽く睨むと、公子はまた頬を赤らめてうつむいた。
「ごめんなさい、これからは気をつけますわ」
〝落窪物語〟は、継母に苛められる貴族の姫君の話である。紆余曲折はあるものの、姫君は最後には両想いになった恋人とめでたく結ばれ、幸せになるという物語だ。
この頃、都ではこの〝落窪物語〟が貴族の女性たちの間で大人気だという。
公之が軽く睨むと、公子はまた頬を赤らめてうつむいた。
「ごめんなさい、これからは気をつけますわ」
〝落窪物語〟は、継母に苛められる貴族の姫君の話である。紆余曲折はあるものの、姫君は最後には両想いになった恋人とめでたく結ばれ、幸せになるという物語だ。
この頃、都ではこの〝落窪物語〟が貴族の女性たちの間で大人気だという。