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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 一方、その頃、公之は洛外から漸く京の都に入ったばかりだった。昨夜、泣きながら屋敷を出ていった公子を追い、京まで馬で戻ってきた。都中を探し回ってみても、公子を見つけることはできず、再び洛外に出て探していたのだ。が、やはり公子の姿は見当たらない。

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