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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 翌年、桐壺御息所祐子は若宮を生む。十八歳の若い父親となった帝も愛妾からの皇子誕生に殊の外歓ばれた。歓びのあまり、祐子を更衣から女御へ進ませると言い出したものの、これは左大臣藤原道遠初め、右大臣の藤原許(もと)嗣(ひで)(藤原氏の分家、道遠には従兄に当たる)、主立った廷臣たちに阻まれて実現できなかった。

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