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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 が、その若宮は生後ひと月で夭折、帝と祐子を大いに嘆かせた。その哀しみも覚めやらぬ中に、祐子は更に帝との間の第二子を身ごもる。そして、今年早々、夭折した若宮に続き、年子となる姫宮を出産したのだが―、あろうことか、死産であった。
 三日かがりの難産で漸く生み奉った皇女は産声さえ上げることなく、死んで生まれてきた。〝姫宮さま死産〟の悲報に追い打ちをかけるように、祐子は翌日、十七歳の若さで亡くなった。

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