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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 小紅が縫い始めたのは綿入れの袢纏であった。心ノ臓の病には寒さは良くない。なので、叔父に着て貰おうと温かい冬用の袢纏を仕立てることにしたのである。
 こんなことで恩が返せるとは思わないけれど、少しでも寒い冬を温かく快適に過ごして欲しいと思い、ひと針ひと針、心をこめて縫い上げていった。

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