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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 だが、一日中縫い物をしていても、肩や眼が疲れるだけで、長時間となると、かえって能率が落ちてしまう。そこで、小紅はついに意を決して部屋を出た。紅絹(もみ)の紐でたすき掛けをし、上等の着物の裾を端折(はしょ)った。その勇ましい姿で自室の前の廊下の雑巾掛けを始めた。

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