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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 準平は五年前と違い、鍵を掛けなかった。いや、最早、鍵などはあって無きがごとしなのだろう。あのときですら、鍵は既にさび付いて、殆ど使い物にならないような有様だったのだから。
 準平の手が伸び、着物の袷が乱暴にひらかれた。手が襟許から差し入れられ、乱暴に胸のふくらみを包み込まれる。
「ううっ」
 口に詰め物をされているので、声も出せない。小紅は渾身の力を出して暴れた。

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