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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

「でも」
 逡巡する小紅に、武平はいつになく強い声で言った。
「良いから」
 言った後で、照れたように笑う。
 武平の笑顔は魅力的だ。春の陽溜まりのように、何もかもを包み込むような笑顔が子どもの頃から大好きだった。
―私、叔父さまが大好き。

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