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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 父もまた岡場所の女に入れあげて出奔した。男という生きものはおしなべて皆、色欲に突き動かされるものなのだろうか。その衝動は抑えきれないものなのか。
 小紅は口にした瞬間、自分は何というはしたない質問をしてしまったのかと消え去りたいほど恥ずかしくなった。間違っても、未婚の娘がまだ若いといえる歳の男にする質問ではない。たとえ相手が血の繋がった父代わりの叔父とはいえ、だ。

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