テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 私はあんな男は大嫌いなのに。触れられたくもないのに。
 でも、大好きな叔父さまを困らせたくないから、私は黙って堪える。でも、こんなのって、かなり辛い。
 小紅は涙を堪えて言った。
「一度だけ、私を抱いて」
 叔父の顔に静かな驚愕がひろがる。
 小紅は微笑んで首を振った。
「違うの、ただ、その胸でほんのひとときだけで良いから、私を抱きしめていて欲しいの、それだけ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ