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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 客の出足が今一つなのも、この悪天候のせいもあるだろう。こんな寒い冬の日はどこにも出かけず、家の中にいた方が誰だって良いに決まっている。
 昼を回っても客の出ははかばかしくなく、その日はどうやら商売には不向きな日なのかもしれないなどと、この頃、流行りの辻占に凝っている手代が言い出す始末。

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