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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

「ありがとう」
 小紅はお琴を見た。お琴も小紅を見た。
「どうぞご無事で。絶対に若旦那さまに捕まってはいけませんよ」
 二人はひと刹那の間、見つめ合い、無言で別れを惜しんだ。
「さあ、早く行って下さい」
 その声に背中を押されるように小紅は駆け出した。

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