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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 それでも陽射しが日毎に春めいてきて、厳しい寒さの中にも新しい季節が始まる予感めいたものを感じるようになっていた。今もこうして往来を歩いていると、大気にほんのりと梅の香が混じっているような気さえしてくる。

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