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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 今日は晴れ着を二着仕上げて、京屋に届けてきた。どこかのお店の内儀とその娘が芝居見物に行くというので、それに着ていく晴れ着を頼まれた。いずれも上等な布地で、母親の方は萌葱色に梅の花が描かれている。娘の方は若い女らしく、薄紅色に少し早いが白い八重桜の模様だ。

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