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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 それにしては、栄佐の機嫌は良くなさそうだ。やっぱり、他の男に汚された女はいやだから? 小紅の胸を哀しい想いが満たしてゆく。
 だが、栄佐はまったく別のことを言った。
「それ以上聞くと、今度こそ、あの男を殺してしまうかもしれねえ。別にお前がどうのこうのっていう問題じゃねえんだ。誤解するな」
 栄佐は前を向いてゆっくりと歩きつつ、ポツリと思い出したように呟いた。
「俺の方からも一つだけ、聴いておきたいことがある」

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