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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

―いつかお前もたった一本の縁の糸で繋がった運命の相手にめぐり逢うだろう。そのときは、その縁を大切にしなさい。
 武平と想いを確かめ合った夜、叔父は最後まで小紅を抱こうとしなかった。そして、叔父は小紅に言ったのだ。
―最後にお前の顔をよく見せておくれ。
 武平はまるで瞼に灼きつけるように小紅の顔を見つめていた。もしやあの時、叔父は自分の寿命がもう尽きようとしているのをどこかで悟っていたのかもしれない。

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