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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

「寝てるの?」
 小紅は持ってきた桜団子を傍らに置いた。
「栄佐さん?」
 呼びかけたその時、突如として栄佐がガバと布団を跳ね上げ、身を起こした。あまりの勢いに小紅は小さな声を上げた。
「びっくりするじゃない。起きてたのなら起きてるって言ってよ」
「お前、今日の昼間はどこで何をしてた?」
 いきなりの詰問口調で、小紅が眼を瞠った。
「あの―」

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