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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

「応えろっ、今日の昼間はどこで何をしていた!」
 栄佐の眼が据わっている。その透徹な瞳は底知れない深い湖のように静まり返っていた。
「栄佐さん? どうしたの、何だか怖いわ」
 小紅は怯えて後ずさった。
「今は帰った方が良いみたいだから、また出直して―」
 立ち上がりかけたその手を掴まれ、ねじり上げられた。

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