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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 お琴は翌朝、朝食を居室まで運んできてくれた時、笑いながら言った。
「若旦那さまはいつまで経っても、旦那さまに頭が上がらないんです。何せ、若旦那さまが吉原で湯水のように使うお足はすべて旦那さまから出ているんで、旦那さまを怒らせてしまったら、遊興費がなくなっちまいますからね」

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