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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 昨夜もお琴から事の次第を聞いた武平は準平を呼びつけてさんざん説教した挙げ句、
―祝言を済ませるまでは、たとえ一つ屋根の下に暮らしていようが、小紅に手を付けちゃならねぇ。
 と、きつく言い渡されたそうだ。更に
―もし言いつけが守れないようなら、祝言まではお前にはこの家の敷居を股がせねぇから、よおく憶えておきな。
 とまで言われたそうである。

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