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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 準平が執念深そうな気性なので、告げ口をしたと後で嫌がらせをされたのではと不安になる。
 と、お琴は人の好さそうな丸顔に笑みを一杯にひろげた。
「ご心配頂いて、ありがとうございます。ですが、何の心配もありませんですよ、お嬢さま。旦那さまはすべてお見通しですからね。若旦那さまだって迂闊な真似はできないんですよ」

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