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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 嫌がる下女を空き部屋に連れ込み、さんざん陵辱した挙げ句、身籠もったと打ち明けられれば〝憶えはない〟とすげなくそっぽを向いた。
 事の次第を知った武平はその女中を人気のない場所で出産させ、身二つになった女は一年遅れで許婚者と漸く祝言を挙げた。生まれた子どもは男の子だったが、そんな経緯で生まれた子を難波屋に迎えることはできないと、里子に出されたそうだ。

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