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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 小紅の手にしたのは一枚の紙切れ―、どう見ても役者の姿絵であった。多色刷りの美麗なもので、一枚がかなり値の張るものだったろう。
「これは役者絵よね?」
 お琴の頬は十代の少女のように紅く染まっている。

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