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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

―子どもの癖にお前は父親に説教するのかえ?
 どうやら、女の悪口を言われたのが癇に障ったらしい。
―おとっつぁんは、その女に騙されているのよ。
 その一言が父を怒らせたのは判っている。
 しかし、見た目もパッとしない四十男の父は娘から見ても、女にモテる口ではない。恐らく女は父の金と上州屋の身代が目当てで近づいたに違いなかった。

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