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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第11章 第一部第三話【月戀桜~つきこいざくら~】 疑惑

 小紅は素直に頷いた。
「以後は十分に気を付けます」
「今日のところは俺が送っていこう。こいつは当分は眼を覚まさないはずだが、万が一ということもあるでの」
 いまだ気絶したままの宇之助を見つめ、男は笑った。小紅が男を見つめると、彼はまた顔を紅くした。
「い、いやっ、別に俺はただ家の近くまで送ると申しているだけで、そなたの住まいまで上がり込もうとは」

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